娘と、兵馬俑さん

20年前

父が中国の兵馬俑を訪ねた折、自分に似ているかも?と買ってきた小さい小さいレプリカ。精巧にできている陶器の人形です。戸棚にしまわれていたのですが、倒れたりしたのでしょうか、いつの間にか首から割れてしまっていました。


8年前

今は10歳になる息子が2歳の時。兵馬俑レプリカを戸棚からだして、割れた首を一生懸命元に戻そうと、何度もなんどもつけてはポロリ。
首が取れているのが当たり前になっていた私は、「そうだね、このままじゃかわいそうだね、ずいぶん長い間こんな状態でごめんなさい」と、強力な接着剤でくっつけました。あなたが首をなおしてあげたようなものだから、守ってくれるかもねと息子にいいました。
息子がとてもうれしそうにそのレプリカを愛でるので、私たち家族は兵馬俑さんと呼び(笑)お人形ケースにいれて大事にしていました。

時はたち、今

今度はもうすぐ2歳になろうとしている下の娘が、人形ケースに入っている兵馬俑さんをみると「コワイ!コワイ!」と言うようになりました。
娘はマネキンやリアルな人形を怖がります。
ペコちゃん人形さえ怖い(笑)
兵馬俑さん、そりゃあ怖いよね。
しばらく兵馬俑さんが見えないようにしていましたが、イタズラが激しくなってきた娘ちゃんがテレビのカードを抜いたりするので、兵馬俑さんにテレビの裏に常駐してもらい、テレビを守ってもらうことにしました。
始皇帝廟を守るために生まれたはずが大変申し訳ないけど、我が家にとっては大事な役目です。

娘はこわい!とテレビの裏をのぞかなくなりました。

しかし、娘もさるもの。
兵馬俑さんにだんだん慣れてきてしまったのです。
そのうち兵馬俑さんをわしづかみし、一緒に遊ぶようになりました。
イイコイイコしたり(笑)話しかけたり。
娘が兵馬俑さん相手にゴニョゴニョ話す片言の会話の中に「コワイ」と言う言葉が聞こえたりするので「最初は怖かったけどー、今は仲良しだよね♡」と言ってるのかもしれません。

息子の警護役から、娘の警護役になった兵馬俑さんは、人形ケースから出て、神出鬼没。
茶の間のあちこちに出没します。
こんなに家族の一員的になっている兵馬俑レプリカが世界にあるでしょうか(笑)
コワイ顔しているけど、忠誠を誓うようなスタイルがとてもかっこいいです。



そして昨日

昨日私が夜中に、なんとなく映画「レッドクリフ」見ていて、そろそろ寝ようかと視線をはずすと…
テーブルの上でかしこまる兵馬俑さん。
完全に目線はテレビ。
兵馬俑さんとずっと一緒に映画を見てたようで、思わず「ぶ」と一人でふいてしまいましたよ。

さ、三国志ですもんね。
今度は「始皇帝暗殺」を一緒に見ましょうか。


「レッドクリフ」に見入る兵馬俑さん(笑)

✴︎ Harmonia

鬼丸 織江 『ハルモニア』